大隅半島芸術村
〒893-0053 鹿児島県鹿屋市浜田町南風の丘2-1
TEL:0994-47-3008

図書館長郷原岳東の便り

季節がめぐる南風図書館
南風図書館
館長 郷原 岳東
(ごうはら たかあき)
南風図書館・館長だより(2019年11月)

図書館の2階から西に桜島が見え、火口から噴煙が上がるのが見えます。噴火すると、ああ、これは灰が風に乗ってこちらにやってきて降るから、その前に散歩を済ませてしまおうと、森の道を歩きはじめることがあります。

鹿屋市の野球場から北に高隅山が稜線を映わすのが見えますが、その西の桜島から噴煙が風に乗って、やって来るのも見えます。

桜島は、人間がここに住み着く前から噴火活動をしていたのでしょう。だから噴火による火山灰については、気持ち悪くとも、我慢しなくてはならないところが、大変です。

秋から冬のあいだは鹿屋の方向に、春から夏にかけてのあいだは鹿児島市の方向に季節風が吹き、灰も季節風が吹く方角に降ることが多いとされます。

鹿屋は桜島から離れているため、気持ち悪い程度の降灰ですが、桜島ご当地や鹿児島市の降灰は、視界が悪くなるほどに至ることがあります。

鹿児島港から桜島港までフェリーで渡り、帰路に車でターミナルを出ると、灰がもうもうと舞っていて、その中を観光客が歩いているのを目にすることがあります。

桜島港から鹿屋へ向かうときは、有村溶岩展望所前を通りますが、展望所の駐車場にバスが停まり、国内外の観光客が、溶岩群への階段を上っていくのを見ることも多いです。

人間が生きていく以上、住む土地の自然環境とともに生活せねばなりませんから、その土地柄に、例えば辛抱強いとされる北国の豪雪地帯に住む方とは違うなど、鹿児島独特な質実剛健な精神風土があることは、よく知られたところです。

南風図書館のある大隅半島の鹿屋市浜田町は、錦江湾岸の、温暖な、カンキツ畑など多い静かなところです。

10月なかばまでの蝉しぐれが聞かれなくなると、再び森の中の野鳥の声が聞かれるようになりました。

何という鳥か知らないのですが、キーキーと鳴く鳥が木々の中を飛んでいきます。この鳥の鳴き声が聞かれるたびに、ああ、また、秋が深まってきたな、と感じます。

柿やブドウも熟れ、収穫されたのでしょう。唐芋掘りも最終盤となりました。

まるい地球に、情報は瞬時に飛び交う時代になっても、住むところの自然は、芽を出したり、若葉をそよがせたり、枯葉を落としたり、花を咲かせたりしながら、めぐる季節に育っていきます。

火山灰が降る季節にも、和らいだ秋の陽光は、森の木々や若葉を照らし出し、映わせます。

いま、夕陽に照らし出される開聞岳や薩摩半島の西、夕暮れの空は、1日働いた心の遠くにまで届いていきそうな美しさです。

もう立冬に至り、田舎街にも、今年もクリスマスソングが聞こえ始めました。

またひととせめぐって続くふるさとの生活は、刺激は乏しいけれども味がするように豊かだと、晩秋の景色に、感謝の心で過ごします。


南風図書館・館長だより(2019年10月)

10月に入ってから、このところ、秋晴れが続きます。穏やかな日和の風はかぐわしく吹き、車で出勤してくる時に見る、収穫作業たけなわの、野里の田んぼ地帯を渡っていきます。

図書館2階から、南側の窓向こうを眺めますと、錦江湾の上秋空がひろがり、薩摩半島南端に開聞岳が稜線を映わせています。南薩摩の指宿や山川を大隅半島側から見ていますと、湾対岸の半島の街に、どんな家庭の、どんな暮らしがあるのだろう、と感じさせられます。

高須や郷之原、東原など大隅半島の畑でも唐芋堀りが始まりましたが、山川や知覧といった南薩の芋どころでも、収穫の作業が進んでいるのでしょうか。

南薩摩を舞台にした小説に、梅崎春生の『幻化』があります。東京で入院中の男が病院を脱け出し、飛行機で鹿児島にやって来てのち、太平洋戦争時にいた坊津の海軍基地跡付近から吹上浜あたりを徘徊する物語です。

ちょうど今と同じ、秋の季節だったでしょうか、20年ほど前に、私も指宿から南薩路を開聞岳の麓、枚聞神社前を通って、坊津までドライブしたことがありました。

峰ヶ崎の遥か西、大陸まで、東シナ海がひろがるのをのぞむのは、古い港の遣唐使や鑑真和上の伝説をも伝える歴史と、当時の私の心情もあったのでしょうが、哀しさまで感じさせました。

梅崎春生は、他にも、鹿児島を舞台にした『桜島』という小説を書いています。

浜田町の南風図書館から、秋の開聞岳をのぞみますと、このふるさとに人間が住み着くようになってから、国家が成立し、武士の世となり、鎖国して開国して、2度の世界大戦があって、今に至った人の世に、ここにも農業や漁業ほか生業が生き、継いでいく者、興す者、仕事が続いてきたと知ります。

錦江湾大隅半島岸の高須や根占あたりの港からは、南西諸島、東シナ海の海まで船が出ていたのでしょうか。

図書館から眺める浜田海岸は、江戸時代には薩摩半島から大隅半島へ移住してくる人たちが、上陸してくるところだったという話を聞いたことがあります。

また1945年8月15日の敗戦のち、アメリカの進駐軍が上陸してきたのは、浜田海岸だったとも聞きました。

いま、図書館窓からは、鹿児島市へ向かうクルーズ船が、湾に入って、開聞岳前を航行していくのが時々見えます。

図書館の窓から見える錦江湾の向こう、硫黄島を眺める南の南西諸島の島々の浜に、波が寄せては返し、懐かしい南風が吹いているのだろうかと、想いを馳せることもあります。

錦江湾岸浜田町の海の見慣れた風景もまた、世界とつながる一つの海に、人間という生き物が生きてきた歴史を、今に証していると感じます。


南風図書館・館長だより(2019年9月)

お盆の日に図書館に出勤して、駐車場に車を駐めたところに、捨てられていたであろう黒い毛の子猫の姿を見ました。

前にも森の道で、捨てられていた子猫4匹の姿を見た、と書きましたが、それとは別の猫です。

生まれてまだ日数もたたないらしく、体は小さく、毛も逆立っていました。

いつも通り建物2階で仕事を始めたのですが、昼食の際、外に出ると、テラスの軒下に座り込んで、ニャーニャー鳴いています。

エサをやると居ついてしまうからと、ほったらかしにしていました。昼食から帰ると、まだ軒下にいて、私が行こうとする後をついてきます。

1日そのままにして仕事を終えて出ると、まだ軒下にいます。翌朝、出勤してくると、軒下に座り込んで鳴いています。

さすがにかわいそうになってエサをやろうと思ったのですが、中途半端に世話をして、あとで面倒見切れなくなってはよくない、と思いとどまりました。

子猫は怖がらずに、救けてくれとでも言いたげに、私に鳴きながら寄ってきます。

保健所に電話して、引き取ってくれますか、と問い合わせると、元気な猫は預かれない、とのことです。

南風農菓舎のスタッフが猫好きな知り合いに飼ってもらえるか聞いたところ、預かってくれると答えてくださりました。

スタッフが猫を車で、預かってくださる方のところへ送りに出たときには、ホッとしました。

子猫が元気に大きくなってくれればいいな、と思いながら、スタッフと猫の乗る車を見送りました。

さて、図書館東側の森の道はツクツクボーシしぐれとなっています。秋の彼岸前の森には少し涼やかになった風が吹きますが、散歩道を歩いていると、残暑にまだ汗が噴き出します。

森の先、大姶良の道へ出るところの向かいは、横尾岳へ登っていける道が伸びていきます。この横尾岳から大姶良川が流れ出し、永野田町の先で肝属川と合流すると地図で確認できます。

散歩しながら見ると、大姶良川の水を引くであろう田んぼが山の麓に、稲苗をそよがせています。横尾岳の北側の麓に、田んぼがひっそりと集まっているのは、どこか秘境めいた景色です。

この田んぼ群れの西端のところに、白鷺が二羽、長い足を伸ばして佇むのを何度か見ました。雌雄のペアなのかわかりませんが、私が近くまで歩いていくと、大抵一羽が東の田んぼと山すそ森の方へ、ゆっくりと羽をひろげて飛んでいき、そのあとをもう一羽ゆっくりと追っていきます。

この二羽はどこに巣をつくっているのか、なぜいつも田んぼの西端同じところに佇んでいるのか想像しながら飛んでいくのを眺めていると、楽しくなります。

図書館のある浜田町も彼岸を過ぎると、暑さ和らいでくるのでしょう。

いま、森のツクツクボーシしぐれを聞き、図書館まわりに群れ飛ぶトンボの姿を見ながら、生命盛りの夏のあと、かぐわしさだけ残して吹くような風が木々の枝を揺らす中を暮らしています。

秋が深まると、図書館から眺める、西日染めるあかね色の空は、開聞岳や薩摩半島の稜線をドラマチックに映わせます。

また、今年も実りの季節が近づくと、日々働いたり、森を散歩したりしながら、初秋の景色をほっこりとした気持ちで眺めます。


南風図書館・館長だより(2019年8月)

図書館2階の仕事場から、窓の南の風景を眺めておりますと、開聞岳の向こうの空に入道雲が白く映え、青空と海が美しく青く輝くようです。

今年初めから書いておりました「十二年後の海で」という小説がもうすぐ刷り上がり、南風図書館にて発売となります。これは浜田海岸や沿岸のミカン畑、唐芋畑などを描いた小説です。南風図書館にいらした際には、手に取っていただけると嬉しく思います。

森の散歩道を行きますと、ツクツクボーシの鳴き声が聞かれ始めました。暦の上では立秋となり、お盆も近づいてきます。暑さは続きますが、陽光の輝きも7月の盛りよりは、ほんの少しだけ和らいだように感じます。

鹿屋の繁華街では、進学や就職で街を巣立った若者たちが帰省し、中学や高校の同窓生たちと連れ立って歩くのが見られます。気の置けない懐かしい仲間たちと、近況を語り合ったり、旧交を温めているのも、ふるさとの街の夏の詩でしょうか。

季節はめぐり、毎年、夏がやってきますが、そのたびに「帰ってこれるところがある」ことのありがたさを感じます。

ふるさとを巣立ち、都街で働くようになっても、生まれ育った景色や、そこでの思い出は記憶され続けるでしょう。幸いにして、ふるさとで執筆することができるようになった私も、都会で汗を流し、人と人との摩擦で苦しむような方を癒したり、励ましたりするような作品を作りたいと願います。

大隅半島の夏は、海や川、山、森豊かな自然に、暑いけれど、どこか清潔さを感じさせる風が吹きます。少年の日の記憶を宿しながら、いろんなところで働く同世代の姿に、私も、しっかり生きなくては、と心に刻みます。


南風図書館・館長だより(2019年7月)

7月初めに豪雨となりました。串良川氾濫の恐れとスマートフォンに警戒情報が入るなど、激しく降りました。

豪雨のち、雨の上がっているあいだに行く森の散歩道には、土のくぼみのところを降った水が流れ、川のようになっていました。

図書館へ車で向かう途中の高須川も水かさを増し、流れを急かせていました。

もうすぐ梅雨も明けるかも、と知らせてくれるように、浜田の集落からの道に、ヒマワリが咲き始めました。森を行くと、蝉の鳴き声も聞かれ始めています。

浜田海水浴場や高須の海には、晴れた日にはヨットが帆を上げているのが見られるようになりました。夏の高校野球甲子園県予選も始まったと報じられ、今年も夏本番が近づくのを感じます。

ちょうど田植えが一区切りした野里の田んぼ地帯には、苗が気持ちよさそうにそよいでいます。高須川流域の、この野里には、「田の神様」という石像の他、仏様を彫った石像など、田んぼの中や農業用水路流れる屋敷前の入り口とかに見られます。

田の神様については、かつて野田千尋さんという学者が研究し、本にまとめました。野里だけではなく、肝属川流域の田んぼ地帯などにも、田の神様は見られます。

しゃもじを手に持ち、頭巾のようなものを頭にかぶった田の神様は、微笑ましい姿で、田んぼ地帯の農作業を見守るようにしています。

彫られたのは江戸時代の頃だったのでしょうか。どんな気持ちで、どんな人が彫ったのか、古へのロマンをかきたてられます。

一昨年、鹿児島市の黎明館で「鹿児島の仏たち」という企画展がなされ、私も見に行きました。垂水市の勝軍地蔵はじめ、廃仏毀釈の時代の中、地元やお寺の人によって守られた仏像が展示されていました。

明治維新前の薩摩大隅に、信仰の証のように彫られ、拝まれた仏像たちは、祈りのかたち、心のかたちのように、今に何かを伝えてきました。

飛鳥~平安時代のもの、鎌倉~室町時代のもの、安土桃山~江戸時代のもの。鹿児島にも歴史の古層には、仏の教えが生きていると知りました。

この展示会には展示されていなかったもので、大隅半島での石仏は、特に肝属川下流の屋敷まわりで発見しました。

唐人古墳群近くには、弥勒菩薩石仏ほか、点在しています。

他に、高隅山麓郷之原から大浦への道には、小川観音があります。安産に験ある観音様の石像だそうで、小川流れ脇の岩の上に彫られています。岩の手前には庚申塔があります。この庚申塔は、白水にも、浜田にも、新川などいろんなところに見られ、江戸時代に彫られたもののようです。

野里の田の神様は、今年も田植えの終った高須川流れの田んぼ地帯を、彫られた時代から、いく夏、見守り続けてきたのでしょう。

生き延びたいと祈り願う心、秋の稲刈りまで苗に育ってくれよと祈る心が、石仏や田の神様を彫った古の人にも、今年田植えを終えた農家にも、遥かに伝えられ、流れ続けていると感じます。


南風図書館・館長だより(2019年6月)

湿った風に、汗をべとつかせながら、降る日々を、図書館で過ごしています。

雨のやんでいる間に、大姶良への道へ、森の中を歩きます。すっかり日課になって歩く散歩道にも、気づくことがあります。

杉のように幹をまっすぐに伸ばす木、二俣に幹を分け曲がらせくねらせながら空に向かって伸びる木、幹にからむように茎をはわせのびるカズラ。樹齢はどれくらいなのか、なぜこんな形になるような成長をしてきたのか。森は一本一本の木の群れですが、種の落ちたところは、その木の選ぶところではなく、それでも伸びていこうとする生命の力が、陽光の当たり方や、雨の降り方、木の葉の呼吸、風、土壌などの環境の中で、たくましく姿かたちを成してきたのだと感じさせられます。いま、梅雨の時期には、春に新緑として萌え出た若葉が緑色を濃くし、呼吸を森全体に深めていくかのようです。

先日は森を行くと、子猫が4匹群れているのに出くわしました。どうやら捨てられていたようです。私の姿を見ると、怖がるように身を寄せ合っていました。2時間ほどして、また歩くと、4匹のうちの子猫1匹、カラスにくちばしでつつかれていました。この森の道では、野ウサギが私の姿を見るやダッシュで逃げ走ったり、野生猿が腹を空かせて食べ物を求めて歩き回っていたり、カラスが野鳥を威嚇していたり、残酷さもあわせた生命の姿を見ます。森の動物たちも、生まれ授かった己が命を生きるために、強くなっていかなくてはならないようです。

散歩道には初夏の草花も目にします。森を行く道の先、海から大姶良へ至る道を瀬筒の方へ歩いていきますと、路傍にはヒメジョオンがよく見られます。白い花をつけますが、いかにも生命力の強そうな姿形です。他にも道を行きながら見る草花が咲いているのを図鑑で調べてみますと、オオキンケイギク、ムラサキカタバミなどと知ります。オオキンケイギクは、黄色の花で、草丈は60センチほど。これも野性味を感じさせる草花です。ムラサキカタバミは草丈30センチほどですが、その可憐な花の見かけによらず、生命力の強さから、この季節に繁殖するとのこと。それから、農道の土手などには、シロツメクサが見られます。牧草としても栽培される草花だそうですが、見ていると和むような気持にさせてくれる優しい姿形の白い花です。

ところで、野里の田んぼ地帯では、田植えが最終盤を迎えています。いま、水を張った田んぼに、植え付けられたばかりの苗がそよいでいます。また、唐芋畑では、畝に苗が活着し、茎葉を伸ばす育ちの盛りです。夏には、茎葉が太陽の光にぐんぐん育ち、根の芋を肥大させながら、畝を覆っていきます。

南風農菓舎では、ハーブのミントが摘みごろです。毎日収穫して、フレッシュティーをつくっています。

アジサイの花が美しく咲く梅雨時には、地球という丸い星の片隅のここに生きる樹木や動物、作物たちの生命も、生きていこう伸びていこうと、たくましく育っています。

もう夏至の頃。あと、ひと月のうちには梅雨が明け、蝉時雨の夏の森となります。


南風図書館・館長だより(2019年5月)

10連休となったゴールデンウィークには、南風図書館や南風農菓舎にも、多くのお客様がいらっしゃいました。

南風図書館から、丘の麓にのぞむ、浜田海水浴場沿いの、佐多街道国道269号線を、南大隅町・雄川の滝や佐多岬へ南下ドライブされる方も、多かったのでしょう。

連休中に、開聞岳の方角の夕日が美しく空を染める頃、夕陽のコンサートを楽しみにお客様が、待っていらっしゃいました。日の入りが、18:50から19:00頃に至る季節、夕陽がいちばん美しい時刻に音楽をかけようとしていたのですが、待ちきれず帰ってしまわれるお客様もおられ、少し残念でした。

ゴールデンウィークが明け、浜田町は、また風の音や鳥のさえずり響く、静かな日々です。

図書館へ移動する車のラジオで、奄美大島が梅雨入りした、と報じられているのを聞きました。

浜田町近くの野里の田んぼ地帯では、田植えの季節を迎えています。また、唐芋畑でも苗植えがたけなわです。

錦江湾からの潮風にも、どこか湿り気を帯びているように、感じられます。

この季節には、田んぼ地帯でも、浜田町にいても、蛙の鳴き声が聞かれます。ゲコゲコと鳴き声を響かせるのが、どこか懐かしく、微笑ましく感じられます。雨に濡れているのが気持ちいいと、喜んで鳴いているように聞こえます。

また、高須川の流れる森には、ホタルが乱舞する季節となりました。

南風図書館に沿って道を行くと、建物東側には、霧島ヶ丘の斜面にひろがる森がおおう道が、400メートルほど続きます。木漏れ日の中を歩いていくと、もう夏の蝶が、木々の中を舞っています。森を歩ききり、海水浴場から峠を登り切って大姶良へ至る道に出て、瀬筒の集落の方へ歩いていくと、森の麓の畑地帯や、瀬筒近くの農道に、草花が可憐に咲いています。ひっそりと建つ神社もあり、発見したと嬉しくなりました。道路脇には、早くもアジサイが花をつけているのもみられます。

夏の輝く陽光を拝む季節を前に、梅雨がやってくるのを、肌で感じます。

もう雨の季節がやってきますが、あと2か月もすると、浜田海水浴場の海開きになります。

梅雨の間は、蛙の鳴き声やアジサイの花に癒されながら、夏本番を待つように、降る日々を図書館で過ごします。


南風図書館・館長だより(2019年4月)

初夏へ移ろっていく、かぐわしい風吹く季節となりました。

ちょうど垂水市高峠のつつじが丘など、ツツジの花が美しく咲く頃です。南風図書館まわりの庭でも、ツツジが見ごろを迎えています。

図書館へ向かう車の道中では、男の子の節句を前に、鯉のぼりが悠々と空を泳いでいます。

高隅山や霧島が丘の森の木々には、新緑が陽光に鮮やかに萌え映え、呼吸をするのも気持ちのいい4月の野です。

南風図書館では、4月7日(日)に「花まつり・詩の朗読会」を開きました。 南風友の会会員様はじめ、鹿児島市や霧島市からも20名を超す方々がご参加くださいました。

春の空らしく、少しかすみがかかっていたため、錦江湾対岸の開聞岳は、稜線をぼんやりとさせていましたが、図書館からなだらかにくだっていく丘の中腹の森の新緑や海が美しく映える日和となりました。

FMかのやの前原さとみさんはじめ、7名の方々が詩を朗読されました。

ひとり2篇ずつ朗読する詩を、潮風に吹かれながら、森の野鳥のさえずりとともに聞くのは、心安らぐ幸せな時間となりました。

朗読会のちは、図書館のカフェで懇談となり、ゆったりと過ごされました。

これからまた、随時企画を立て、ご案内させていただきます。ご参加をお待ちいたしております。

さて、今年もまたゴールデンウイークが近づいてきます。立夏の頃の大隅半島はドライブにも楽しい季節です。車窓を開けて、潮風に吹かれながら行く、こんなドライブルートはいかがでしょう。

古江からさらに海沿いを行くと、砂浜に赤い鳥居が見えてきます。波打ち際を分けるように伸びる浜の道向こうの岩山に社殿のある荒平天神です。菅原道真をまつる学問の神様ですが、近年地元の方だけでなく、観光にいらした方々も立ち寄るスポットとなりました。

鹿児島市と垂水港を結ぶフェリーを降り、国道220号線を南下。錦江湾の青い海を見ながら、柊原や新城を行き、まさかりから佐多街道へ。鹿屋市古江に至ると、地元のブランド魚・カンパチの料理が楽しめるみなと食堂があります。カンパチづくしの料理で昼食はいかがでしょう。

さらに佐多街道を行くと、高須や浜田の海の先、錦江町神川に至ると、神川大滝公園が近くにあります。テレビコマーシャルの撮影にも使われた美しい滝です。

錦江町大根占へ出て、南大隅町根占へ至ると、有名になった雄川の滝へ至ります。ここからさらに東側の山に向かえば、雄川の流れに石畳を敷いた景勝の花瀬自然公園があります。花の季節には、川にかかる花瀬大橋を眺めながら石畳で、花見をしていらっしゃる方が多くみられます。

根占の繁華街から佐多街道を直進すると、本土最南端の佐多岬まで続きます。

道中、薩摩半島の開聞岳が、陽の位置や光の当たり方に稜線を映わせ、少しづつ輪郭を変えていくのを眺めながら行く、楽しいドライブです。

また、南風図書館からは美しい夕陽を眺めることができます。開聞岳の向こうから西陽が空を染め、美しい光を放つ頃、郷原茂樹の作詞した音楽を流す、夕陽のコンサートを開いています。ドライブの帰りに、大隅半島の休日のサンセットを思い出にお刻みください。

行き帰りには是非、南風図書館にもお立ち寄りください。図書館すぐ近くの姉妹施設・南風農菓舎では、お昼に薬膳カレーを召し上がっていただけるほか、ガーデンで採れたハーブティーもお楽しみいただけます。生命豊かな森の中のハーブ園のフレッシュティーは、遥かな錦江湾の長めに、心を静かに満たし、癒します。

錦江湾岸を行くドライブは、ひとりでも、恋人とでも、家族とでも、美しい風景を満喫できます。

美しい大隅半島の初夏の風を、ぜひ、お感じください。


南風図書館・館長だより(2019年3月)

いま、大隅の南風の丘は花薫る季節です。

車で出勤してくる道には菜の花の黄色や木蓮の白い花が鮮やかに目に映ります。

南風図書館は2018年11月3日にオープンしました。

郷原茂樹の書籍を販売する1階ブックカフェにもお客様をお迎えしています。

2階書庫にも、地元の高須公民館の方々はじめ、韓国などからお客様をお迎えしています。

私は、この建物の2階の一室で仕事をしていますが、仕事場の南側の窓向こうには、南風の丘が海に面する斜面の森の先、海水浴場の南に、錦江湾や対岸薩摩半島の開聞岳を遥かに眺めることができます。

ここから錦江湾上空の空や海、風景を眺めていますと、太陽が南の空から西の方へ移ろっていく光の変わり方に、雲や海水、森の木々の葉などが、その時々に様々な表情を映わせます。

白い浮雲が西からの陽光に影を表にしながら流れていったり、雲と雲のすきまからお日様が顔を出してこちらに光を放ったり、また陽光が雲にさえぎられた為に光が落ちて、スポットライトのように、錦江湾の海に陽だまりを作ったりします。

降る日には、森や海やその向こう側の風景が、白い霧に覆われたのち、すっかり雨に洗われ、雲が流れ行くと、澄むような空の下、また木々や海、薩摩半島の稜線が姿を見せます。

この美しい風景のまわり、建物の北側の森からは、野鳥のさえずりが聞かれます。

いまはウグイスが渡り鳴きを響かせ、春の訪れを告げています。

秋だったでしようか、渡り鳥が羽を折ったり伸ばしたりしながら、海の向こうからこちら側に飛んでくるのを眺めていたこともありました。

また、隼がピーヒョロロと鳴きながら、上空に輪をかいているのも眺められます。

森には野島のほかにも、狸やリス、野ウサギなどが生きているようで、時々姿を見かけます。

野生猿が姿を見せ、図書館建物まわりで、うろうろしているのを見ることもあります。

森の生き物たちにとっては、図書館建物が建ったことで、住処を狭められた感じなのかもしれないと少し残念ですが、こういった環境で心安らいで過ごす仕事の時間は、何事にも代えられない幸せを感じさせてくれます。

夕方、図書館の西側の空、開聞岳の向こうに太陽が沈んでいく頃、郷原茂樹の作詞した音楽を流し、夕日のコンサートを開きます。お客様や地元の高校生などが、美しいタ日を眺めていらっしゃることがあります。

こういった生命豊かな森の環境で、執筆や編集に取り組むのが、私の仕事です。

美しい風景や風の音、森に住む島や生き物たちに癒される南風図書館ブックカフェで、ゆったりとコーヒーを飲みながらくつろがれるお客様もいらっしゃいます。

ちょうど菜の花や木蓮の季節となりましたが、これから挑、桜、ツツジなど見ごろを迎えます。

初夏にかけての大隅半島の風は、美しくかぐわしく気持ちのいいものですが、またこのひととせにも春がやってきたと、今はうれしい気持ちでいます。

4月7日(日)には、「花まつり・詩の朗読会」を催すこととなり、準備を進めています。

春から初夏、新しい季節を迎え、また南風図書館での新しい出会い待つ心を弾ませているところです。