小説家・詩人郷原茂樹の情報
郷原茂樹のオリジナルソング
15曲を
YouTubeで発信しています
最近、『テレビで会えない芸人』という映画が評判になっているようですね。郷原茂樹は『テレビで会えない作家』なのですが、あまり評判にはならないようですけど(笑)。
でも、大丈夫です。今度、オリジナルソング15曲をいっせいにYou Tubeで発信しましたから、評判になることは・・・(笑)
15曲はすべて郷原茂樹が作詞した歌です。
20代の頃のみずみずしい愛の歌、中年になって青春をなつかしむ歌など、人生の多彩なシーンを静に深く語りかける・・・ 聴く人の、心を洗い、慰め励まし、希望がわいてくる、そんな歌詞とメロディ。
もう一つの魅力は、歌の背景に桜島、開聞岳、錦江湾などの美しい風景が映ります。ほとんどが郷原茂樹の撮影した写真です。 その映像と詩や歌とがひとつに融合した独特の芸術作品です。
また映像に登場するモデルは、ほとんどが自社の社員たちです。 普段はごくどこにでもいるような社員たちなのに、写真に撮られると、アイドル風ではない、気品さえ感じさせる上品な美人に変身しています。 特に工夫して撮ったのではなく、一声かけてパシャと撮るやり方で・・・。まるで郷原茂樹の魔法にかかったように、モデルが精彩を放っています。
南風図書館の出版情報
郷原茂樹が愛読している 5人の作家について、それぞれの人物と作品について語ります。
それを語ることで文芸の楽しみや歓びを伝えたい、という郷原の思いが出版の動機です。ひとりでも文芸の楽しみや歓びを知ってほしいと願って・・・。
●「ロマン・ロランに励まされて」西成勝好(大学教授)
◇「ロマン・ロランの火種」・・・語る人/郷原茂樹
◎グラビア/『チェーホフ作品に出演』宮本裕子(女優)
◇「アントン・チェーホフの寂しさ」 ・・・語る人/郷原茂樹
◎グラビア/『ヘミングウェイの住んでいた邸宅』
◇「アーネット・ヘミングウェイの孤独」
・・・語る人/郷原茂樹
●「生の歓びあふれた純文学」野谷文昭(翻訳家)
◇「マルケスの魔法」・・・語る人/郷原茂樹
●「静寂と叡知に耳を澄ます人」今福龍太(文化人類学者)
◇「ル・クレジオの遠心力」・・・語る人/郷原茂樹
南風図書館の出版情報
・・・生きていくために、微かでも希望がほしかった。
ひとりの女性は覚醒する。・・・漂泊しているかのように大隅半島の南風の丘を訪れて、季節のめぐる壮大な風景を眺めたとき、しみじみと生命がよみがえり、自分の人生から解放された気がした、と。
「私の人生は誰も代わりには生きてくれない」。7人の女性は自分の人生をそれぞれに歩きはじめる。
《郷原茂樹の描く女性はいつも凛として美しい。今回また、新しいシネマチックロマンが生まれた。》
Ⅱ, 桜の園
Ⅲ, カシニョールの絵
Ⅳ, ローゼルティー
Ⅴ, 夕日のコンサート
Ⅵ, 雲は流れる
Ⅶ, 湾の見える丘
奄美群島の潮鳴り
13:30~15:30
〒892-0816 鹿児島県鹿児島市山下町5−9
指宿桃子(徳之島の唄者))
●朝花 ●ねんねがせ
小口ゆい(東京の朗読家)
●郷原茂樹の「奄美の歌」より
今井俊子(鹿児島の朗読者)
指宿桃子との共演
●郷原茂樹と吉国明彦(エディター)
池田昭代(語り手) ●郷原茂樹の「奄美物語」より 「響む、那覇の世」
小田まみ(徳之島の声楽家)
●郷原茂樹のオリジナルソング
指宿桃子/小田まみ
●ルリカケスの歌
文芸ホームルーム月例会
鹿児島市本港新町4-1
★読書感想の歓談会
新作の短編小説『南風の丘にて』を読んで
★読書感想の歓談会
新作の短編小説集『大隅秘帖』を読んで
★読書感想の歓談会
新作の『大隅隼人』を読んで
メイントーク 郷原茂樹(作者)
コーディネーター 吉国明彦(編集者)
《特別企画》大隅半島の古墳めぐり
案内役/郷原茂樹
2019年に出版した本
現代小説/5作品を同時に出版しました。-
(1)短編小説集・・・・・・「シネマチックロマン」《5編》
- 空のキツネ
- ギンザ イズ ラブ
- スーパームーンの夜
- ニセアカシア
- 我らの宇宙
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(2)中編小説・・・・・・「ポマンダーの薫り」
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(3)中編小説・・・・・・「遠い雪山の眩しさ」
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(4)長編小説・・・・・・「エスペランサ」(上下)
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(5)詩歌集・・・・・・・・「愛しげな人々よ」
2019年/5作品の紹介
人は生きるむなしさを埋めるために、愛の幻を観る。
航空会社の若いパイロットとアラサー人妻の客室乗務員。彼のオートバイで二人は沖縄の海辺を走る。一瞬に滅亡するメルヘンチックな恋。・・・・・・「空のキツネ」などさまざまな恋を描く短編集。
愛のピアノ曲を残して去った、可憐なフランス娘
マリーのピアノの音色は、3代にわたる心の傷の疼きがひそむ。さまようほかはないマリーに、やるせなく翻弄される初老の実業家。鹿児島や神戸、東京をステージに、いつしか二人の心が共鳴する。
憎みあいながら断ち切れぬ、禁忌の切ない絆。
大学時代のセクハラを忘れようと29歳まで真実の愛を求め続けてきた彼女。婚活の落とし穴で麻薬に手を染めてしまう。彼女を救おうとする中年のデパートマンは人殺しのトラウマを背負っている・・・・・・。二人で逃避行した琵琶湖畔で、遠い希望のように光る、伊吹山の雪。
もろくも崩壊した社会
われらの行く末はどこにあるのだろう
地震、津波、原発事故・・・・・・東日本を襲った大災害。テレビ局の美人キャスターと辣腕プロデューサー、爆発する原発に立ち向かう自衛隊員、生活を奪われた畜産農家、復興支援に立ち上がる市民。
死に物狂いで生きる人々が偶然に出会い、魂の渦が起きる。鮮やかな映像を観るような文芸大作。
忘れるな、あの人々を!
希望の旗をひらめかせて青いトラックが走る。
人々は振り返る。・・・・・・被災者たちが眠る夜の体育館でバブルの時代を。神戸の鉄人28号広場で阪神大震災を。南相馬の浜で野馬追いの行事を。イギリスの牧場でチェルノブイリから襲ってきた放射能のことを。
振り返る中から芽生える未来への希望。それぞれに希望はつながり、群衆が動き出す。
禁忌の行為もみすみずしく彩られた至上の歌詩集。
曲のない全50歌詩のオン・パレード。
ただひたむきな愛、たどりつけぬ恋。・・・・・・身の置き所のない心の痛み。どうすれは救われるのか、生存を確かめようとあがくとき、人は歌うほかはない。
さまざまな歌詩のなかには、恋を恋した十代の初々しいものもあり、番外編は自由気まま、破天荒なまでに恋を歌い上げる。
今までの本(1)新宿を拠点に創作―ただ今、贈呈中―
南風図書館では、オープン催事として、郷原茂樹が新宿で創作していた当時の現代小説5冊を、無料でプレゼントしています。
これらの本は当時、東京のみで販売され、鹿児島の人たちは手に入れることができませんでした。このため、郷原はいつか機会があったら、鹿児島の人に読んでもらいたいと、各本を1000冊ほど保管しておきました。
この度、南風図書館がオープンしましたので、ここで来館記念としてそれらの本をプレゼントいたすことになりました。
すいぶん長い歳月がたちましたが、大切に保管されていましたので、いずれの本も新刊同様にきれいです。
どうぞご自由にお持ち帰り下さいませ。
あの時代、どうして新宿で?
バブルのクライマックス。一瞬、バブルがはじけて大混迷に。そんな平成の初め、郷原茂樹は東京の新宿で小説を創作していました。
・・・・・・何故、新宿だったのか?
それは新宿に本社をおく紀伊國屋書店が、新宿の若い人たちの世界を描くことを条件に、本の販売を引き受けてくださったからです。実際、郷原の本ができる度に、紀伊國屋書店がフェアを開いて下さいました。そして本が安定的に売れたことから、次々と創作できる基盤ができたのです。
また京王プラザホテル等でも「郷原の本のフェア」を開いて下さり、新宿観光協会は「新宿の作家」として講演会を催して下さいました。そうしたことが切っ掛けで新宿シティマガジンに毎月短編小説を連載することにもなり、それを読んだ若いOLの皆さんが読書会に何度も招いて下さいました。
郷原の小説は華やかな新都心をステージとして、おしゃれなファッション雑誌のエッセンスを文芸に昇華したような魅力があり、トレンディドラマの先駆けといわれました。しかし、長編小説はかなり趣が変わり、独自の視点で新宿に切り込み、社会性を帯びています。
その頃、新宿は都庁をはじめ猛烈な勢いで超高層ビルが建設され、世界に誇れる様相を呈していました。でも、その裏では古い街が破壊され、人口が急減し、商店街がシャッター通りと化し、学校閉鎖、伝統行事の衰微など、鹿児島の農産漁業の町と同じ現象が起きていました。また新宿に吸い寄せられて、日本の全土から多くの人が出てきており、さらに大久保などの街区にはアジアや中南米から出稼ぎに来ている外国人があふれ返っていました。
愛することを一本の柱として、郷原の小説が新宿で展開される時、新宿がマカ不思議な世界に変わる、と文芸評論家が語りました。
あの時代を象徴する新宿は、郷原が描いたことで、現代を考え、また未来を考える、たしかな何かを秘めているように思えます。
「新宿の愛しげな春」
新宿シリーズの第一弾。出版されると新宿の若者たちが盛大な出版祝賀会を開催。新宿中にPRポスターが貼られ、紀伊國屋書店ではこの本のフェアーが。
朝日・読売が全国版で紹介。
新宿で生まれ育った大学生の美佐子。バブル経済の最盛期、東京都庁に隣接する都市のど真ん中なのに過疎が進み、昔ながらの商店街の崩壊、伝統文化の衰退、学校閉鎖など・・・。
彼女の生活と心も揺れている。
ある日、鹿児島の大隅半島で農業を営むトランペット奏者の鷹渡士郎のことを知り、彼女は友達に呼びかけて鷹渡を新宿に招く。
都市と地方のふれあいをファッショナブルに描く話題作。
「淡星(あわぼし)をふり仰いだ時」
新聞書評で「身を切られるような悲しみ、生きる美しさ。胸に迫るラストシーンの出来映え」と。
カメラマンを夢見て鹿児島から東京に出た片桐裕一。その後を追って小津淳子も上京する。新宿で再会した途端に、二人は殺人事件に巻き込まれ、別々の生き方をすることに・・・・・・。愛はどうすれば届くのだろうか。
何年か後、山形の最上川のほとりで紅花染めを習っている淳子のもとに、一流カメラマンとなった裕一が訪ねていく。
結ばれなかった2人の青春の行方は・・・・・・?
「東京友禅」
幸福な生き方とは?バブル後の希望を求めて、ひたむきに生きて行きて行く若い群像。新宿シリーズの集大成。
東宝映画監習・山下賢章氏や指揮者・小松一彦氏などの呼び掛けで幅広い文化人が集まり、東京青山で出版祝賀会が開かれた。
中岡俊郎は家業の染色業を嫌って証券会社に入社。金儲けの戦士として血まなこになって働いていたが、バブル経済が崩壊し、娘を亡くし、妻との離婚間題が重なり、新潟の廃村に逃げる。豪雪に閉ざされた孤独と、その村で出会ったミチィーラ絵画とをきっかけに東京友禅の染色工だった父の仕事を受け継ぐ決心をして、東京に戻る。生存の本質に悩む現代人にすべてはつながっていると訴える。
「君がいた新宿」
作者がこよなく愛する街・東京の新都心「新宿」で生きる若い男女の恋と生活を描く12編。すべてが恋の話ではない。クリスマス・イブの夜、街で酔客を誘うフィリッピンとぺルーから来た二人の若い女に日本の年老いた男性サラリーマンがクリスマスケーキを贈る、さわやかで切ない交歓を描く八話「雪明かりの影法師」など、一つひとつが清らかな後味を残す。
「帰ってゆきたい景色」
トレンディドラマの先がけといわれた、心にしみる清純な恋の物語。
ミュージカル化の話もあった。
村に企業を誘致する目的の仕事で鹿児島から上京した稲垣明男は、画家になりたくて北海道から来ている小池恵子と新宿の超高層ビル街で出会う。二人はそれぞれの故郷の話をして優しく淡い恋心を抱き合う。
そして間もなく、彼は病に倒れ、故郷の夢を見ながら、彼女に微笑みかけて死んでゆく・・・。
「オペラハウスの見える坂道」
滝崎靖彦は子供の頃から優等生で東京の一流会社に入ったが、コンピュータと付き合う日々の中で鬱病になる。魂の解放を求めてオーストラリアへ。観光旅行会社でアルバイトを始める。そしてオペラハウスの見える坂道で夢見るように美しい金髪の女性、ジョディに出会い、淡くはかない恋に誘われる。
はてしない地平線をめがけてオートバイで走りつづける滝崎が、満大の星を仰ぎながら生きている意味を自問する。
今までの本(2)詩と歌の作品群
私は高校時代、学研の全国コンクールの詩部門で特別賞をもらったり、また地元新聞の新春文芸コーナーに大きく掲載してもらうなどして、詩を作ることに自信を与えてもらいました。そして青春時代には地元の若い人たちとともに文芸ロンド季節風をつくり、『南からの季節風』という手作りの季刊詩集を発行していました。その後、思潮社や幻冬舎などから独自の詩集を発行しています。
また、歌うための詩にも関心を抱き、自作の歌詞に曲をつけてもらい、若い女性5人のバンドを結成して、地元の過疎の村や町を巡演しました。最後は東京の新宿のライブハウスにて公演。これは各マスコミでも大きな話題になりました。その後、自分でも新宿文化会館のステージにたち、詩の朗読や歌を披露しました。女優の宮本裕子さんなどが賛助出演し、本格的なショーとして喜ばれ、公演後に観客から二次会、三次会と誘われました。
<こんな背景の通り、郷原は詩とともに歌詞も数多く手がけており、詩と歌詞が混然となった「歌詩集」も発行されています。>
思潮社の詩集
- (1)雨は降り、雨はやむ
- (2)生と死の融点
- (3)ラセン階段上のやけっぱちな鼻唄
幻冬舎の歌詩集
- (1)あの時代がイメージさせた青春の歌
- (2)鹿児島の風景
- (3)美しい大隅半島
南風図書館の歌詩集
- (1)奄美の歌
- (2)沖縄の歌
今までの本(3)市民連動で発刊した「青空のハーモニー」
郷原の呼びかけて発足した大隅半島カルチャーロビーが、いろいろな文化活動を進める中で、ガイドブック「大隅半島」を制作し、大ヒットしました。その二弾として、郷原の創作した「青空のハーモニー」を市民運動で発刊することになりました。
小学生が主人公の物語で、小説とは言い難い作品だけど、小学生にも読んでもらおうという意図で、その中にたくさんの挿し絵を入れることにしました。しかし絵より写真がよいという意見が強くなり、コンクールを伴う撮影会を開催しました。
物語のクライマックスは野球の試合で、それに登場する若い女性の先生役には、鹿児島テレビに入社したばかりの青木隆子アナウンサーにお願いし、小学生の役の子供たちが二十数名、市民カメラマンが数多く集まり、錦江湾を見晴らす丘の上の公園で演技と撮影が行われました。
本ができると、鹿児島で最大の書店、春苑堂で、たちまち売上けトップとなりました。
その後、各方面から復刊を望む声がありましたが、出版母体がなくて、実現できませんでした。
そして今、南風図書館が開設されたため、およそ30年ぶりに「青空のハーモニー」は再登場しました。当時、小学生だった人がいま大人となり、子供を連れて本を買いに来館され、「これは市民の宝ですよ」と喜んで下さいました。
南風図書館の駐車場側壁面には、青木アナウンサーがバッターボックスに立ち、生徒とたちが大歓声をあげている、巨大なカラー写真の看板が架かっています。
青空のハーモニーのストーリー
昭和31年と翌年、福岡に本拠地をおく西鉄ライオンズは東京の読売ジャイアンツを破り、日本一に輝きました。このとき九州中が熱狂し、優勝に導いた稲尾投手は、「鉄腕」といわれ、少年たちが憧れる最大のヒーローとなりました。
この物語はそんな時代を背景に創作されました。
大学を卒業して教諭になり、大糾半島の小学校に初赴任した庄司葉子を待っていたのは、野球チームを作りたいという生徒たちだった。けれど学校は昨秋の運動会後の火災で、丸焼けになっており、野外で授業をしなければならない状態であった。先生の中には軍隊上がりの厳格一点張りの先生もいて、クラスの生徒が野球するのさえ咎められた。
庄司は新人故の失敗を繰り返しながら、生徒の前で涙を流したりするのだったが、野外で授業しながら、生徒たちに語り続けた。「あなたたちの心の中には、やがて咲く大輪の花が潜んでいるのよ。それを信じなさい。自分はその花を咲かせられるって・・・・・・。夢を忘れないで、夢を大切に育てるのよ」
やがてクラスに野球チームができた。けれどチームがいろんな事件を引き起こし、庄司は泣かねばならないことの繰り返しだった。それでも女の生徒たちも一緒になってそのチームを応援し続ける。
真冬の練習場でそのチームが焚き火を燃やし、ボヤを出した。
ただ規律を重視する軍隊上がりの教諭は、そのことでチームをつぶそうとした。庄司はそれを拒否し、野球の試合で成否を決めようと申し込んだ。そして両クラスの試合が始まった。
《ある読者の声》・・・・・・庄司先生の「夢を忘れないで」という訴えは、現在の教育現場にこそ届かねばならないのではないでしょうか。
今までの本(4)創作の童話や民話など
郷原茂樹は大隅半島にUターンした時期に、鹿児島をステージとするたくさんの市話や民話を創作しました。その一部は東京の八重岳書房から単行本として出版されました。
南風図書館がオープンするにあたり、子供たちにも喜んでもらう本をそろえようと、新たな装丁で童話や民話をよみがえらせました。
(1)柏原のわらべ唄
(2)夕たぬき
(3)天狗と開聞太郎
(1)金色の象に乗って
(2)野のスミレ
(3)仲良し4人組
(1)船こぎ唄
(2)川内ガラッパ
鹿児島最大の川内川には、ガラッパ(河童)の伝説があります。人を溺れさせ、洪水を引き起こすガラッパと、人は共存できない状況でしたが、川のほとりに住む爺さんと孫はガラッパの子供を捕らえたことから、ガラッパの長老が会いに来て、お互いに争わないようにと話し合いました。けれど、人の社会はそれを許さず、爺さんも孫も殺されてしまいます。
この民話が秘めるのは、人として宇宙のすべての生命と共に生きていこう、という願いでしようか。
今までの本(5)いつまでも読み継がれる奄美物語
若いころ勤めていた会社の仕事で、奄美群島を訪れることが多かった郷原は、その後にも幾度となく訪れ、各地を歩き回りました。
珊瑚礁の島で人々が醸造した歌や踊り、独特の暮らし、説話などの息吹きに魅せられ、『奄美物語』を創作したとき、豊かな色彩や遠白いリズムなど、郷原文学の基底が生まれました。
奄美物語がひとつの出発点になった・・・・・・と、郷原は話したことがあります。
その意味は、多くの人に初めて作品を受け人れられた、という実感がともなっているのでしよう。実際、東京の書店でも予想もしてなかった実績をあげることができたからです。
奄美の人が、これは永遠に読み継がれる、と語る理由は、時代の流れと関わりのない作品という点があるでしょう。
例えば現代小説の場合、時代の流れが変わると、その世界の命を失う恐れが多分にあります。しかしこの奄美物語の場合は、時代の流れとは関わりがないために、いつまでも新しい読者が現れるという強みを持っています。
奄美物語は昭和の終わり頃、東京の八重岳書房で発行され、平成に入ってから鹿児島の個人編集者によって復刊されました。
復刊本はいま、南風図書館のみで販売しています。
奄美物語の内容
奄美で歌い継がれている数多くの島唄の中から、独自のストーリーを組み立てて創作した短編小説、唄ばかりでなく、説話や歴史なども取り入れて生み出した、十偏をおさめています。
海と一体になって水平線からすべてがやって来る村、琉球からアケシノと呼はれる神女が渡って来て新しい村が出来る。薩摩が襲来したとき村を守って戦った青年たち、黒糖地獄の中で愛に命を捧げた若い女性・・・・・・。奄美でなければ創作できなかった文芸世界が、ドラマとしての面白さとともに心を打つ作品です。
今までの本(6)佐多岬のガイドブック
佐多岬は日本本土の最南端。ここには明治のはじめ、イギリス人の指導で作られた灯台がある。断崖絶壁の先にある小さな岩山に、それはどのようにして立てられたのか、今まで誰も語ることもできなかった背景を、郷原が海上保安庁などから各種の資料を取り寄せて、詳細をしらべて紹介しています。
また佐多岬になだれ込む山また山。その壮大な原生林の状況と今日的な価値などを、現場を何度も踏破して解説、原生林に抱かれた集落の歴史や伝承している祭りなどもふんだんに写真も織り交ぜて紹介。各方面から貴重な資料という声がかかっています。
しかし佐多岬は環境庁や鹿児島県、南大隅町などによる展望台建築などの開発が急激に進んでおり、ガイドブックはその部分の書き換えをしなければならなくなっています。
さらに郷原は佐多岬だけでなく、大隅半島の各地のガイドブックを制作すると予告していましたが、その後、本来の小説の創作におわれて、実行されないままとなっています。この件ではあちこちからお叱りを受けているところですが・・・・・・。今のところ、予定が立ちません。お許し下さい。